尼崎市の新井司法書士事務所です。

実績

事件簿2(少額訴訟)
本事件は少額訴訟で訴えを起こし、勝訴的内容で和解し、1回の審理で即日終結しました。

 本事件は、自動車で信号待ち停止していたところを後方から追突され、その自動車が使えなくなり、追突した加害者が別の自動車で弁償すると言ったが、弁償してもらった自動車を何度か試乗したところ、あらゆるところに故障や欠陥があったので、自動車ではなく金銭で賠償してほしいと考えているが、加害者側がこれに応じないとの相談から始まった事件です。
 依頼者は当初から訴訟を考えていましたし、事の経緯からしても話し合いで解決することは難しい事案でしたので、訴訟提起することになりました。
 この依頼を受けた当時、新しく少額訴訟制度が制定されて間もない頃でありまして、請求金額がおよそ20万円と少額であったことや、早期に解決したかったという事情もあり、複雑な証拠調べの必要もない事案でしたので、一日で審理が終結し判決がでる少額訴訟を利用することになりました。


 本事件のポイントは2点ありました。一つは被害者が乗っていて追突された自動車が、初度登録から15年程経過していた小型車で、時価評価はほぼ0円であったということです。
 本訴訟は、不法行為に基づく損害賠償請求ですので、損害として請求する金額を、被害者側が立証しないといけないのですが、評価額が0円では損害請求することができません。
 そこで、当職は、時価評価額を損害額とするのではなく、被害者は実際、自動車を使用することに対しての利益を有していたのですから、この利益を失ったという点に着目し、使用価値を損害額として損害賠償請求しました。尚、実際の損害額の計算根拠などの説明をすると長くなりますので、ここでは省略致しますが、請求金額はおよそ20万円でした。
 次に、もう一つのポイントは、弁償として受け取った自動車を被害者が何度か試乗し使用しているという点です。
 損害賠償を金銭ではなく自動車で弁償することは、民法上の「代物弁済契約」にあてはまるのですが、この契約が成立するためには、弁償してもらった人(=つまり被害者)が(自動車でいいよと)「承諾」することが要件となっています。
 つまり、加害者が代物弁済のつもりで弁償した自動車を被害者が受け取り、試乗がてら自動車を何度か使用した行為が、上記要件の「承諾」にあたるのか否か、要するに、自動車で弁償してもらったことに納得したのかどうかという点です。
 そして、被害者が何度か自動車を使用した行為が、「承諾」にあたると認定されるのであれば、代物弁済契約が有効に成立していることになりますので、加害者の被害者に対する賠償義務は果たしたことになり、結果、被害者が金銭で賠償してほしいという請求は棄却されることになります。
 しかし、「承諾」にあたらないと認定されるのであれば、未だ加害者は賠償義務を果たしていませんので、被害者の金銭賠償請求が認められる可能性がかなり高くなります。
 実際の審理では、「承諾」したと言えるのかどうかの結論を導くため、裁判官が訴訟当事者双方に次々に事実関係の尋問を繰り返し訴訟が進んでいきました。
 審理は長引き、途中で一度休憩をとり、次に和解勧告がされました。裁判官が別室で判決書を書いている一方で、当事者間で和解の話し合いが進められ、結果、請求金額がほぼ全額認められる内容の分割での支払いで和解が成立しました。
 午後1時に始まった裁判が終結したのは午後5時頃でした。ほぼ半日みっちり審理をし、とても疲れましたが、担当裁判官の公平で適正な訴訟指揮のおかげで、当職や依頼者も納得して訴訟を終結させることができました。
 又、小額訴訟制度が非常に利用価値の高い手続きであることを実感することもできましたし、当職にとっても今後訴訟活動を遂行していく上で、とてもいい経験になった事件でありました。


 少額訴訟制度の利用をお考えの方は、どうぞ当事務所までご相談下さい。



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