尼崎市の新井司法書士事務所です。

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2009年上半期の仕事
【2009/07/09 20:13】

2009年上半期の仕事  2009年上半期の仕事
 今年の4月で当事務所は開業から丸9年を経過し、いよいよ10年目に入りました。今日は、10年目に突入した当事務所の今年上半期の活動をご報告させて頂きたいと思います。

 今年2009年は、事務所開業以来最も中身の濃い仕事をさせて頂いているように思います。その理由は、契約、法律相談、裁判等の民事紛争事件の依頼が増えたからです。
 昨年まではと言いますと、依頼件数・費やした時間数いずれをとっても9割以上が登記のお仕事でした。しかし、今年は、依頼件数はまだまだ登記事件の方が多いのですが、費やした時間数で考えますと、契約・裁判関係の仕事と登記関係の仕事がほぼ半々か、あるいは契約・裁判関係の仕事の方がやや多いかもしれません。
 契約・裁判関係の仕事は、登記の仕事と比べて、一つの事件を処理するのに多くの時間がかかります。ですが、自らの法知識を駆使して論理を組み立て、契約なり主張なりを築き上げることの醍醐味と完成した時の達成感・充実感を強く感じることができますので、非常に気合の入る仕事でもあるのです。


 さて、当事務所が今年どのような事件・相談を受けたかと言いますと、離婚に関する契約書の作成、養育費の相談、差押の申立、過払い金返還請求、設計料支払い請求、離婚の慰謝料請求、ストーカー行為の慰謝料請求、自己破産、土地明渡し契約、親族間不動産売買、貸金返還請求、取次契約書作成、退職勧奨、事業譲渡、など様々な分野の依頼を受けました。
 中でも特に印象に残っているものの一つが、設計料請求事件の証人尋問、当事者本人尋問です。
 現在、法務大臣の認定を受けた司法書士に限り、簡易裁判所で取り扱う訴訟事件の代理ができるのですが、この設計料事件も簡易裁判所管轄の事件でして、約2年前に訴えを起こした、私が原告代理人として訴訟に携わっている事件です。
 証人尋問、当事者本人尋問は、当事者双方の主張と証拠がほぼ出揃った後の訴訟の終盤に行うことになっているのですが、私が原告代理人として法廷に立ち、私の依頼者である原告本人に対する主尋問をし、又、相手方被告の証人として出廷してきた人に対して、私が反対尋問をしました。
 尋問の内容については、ここで詳しく書くことはできませんが、尋問事項を練り上げていく準備過程で、私なりに気づいた点があります(と言いましても、尋問実務では当たり前のことなのですが)。
 まず一つ、主尋問についてですが、例えば、こちらがAという事実が存在したことを尋問で立証したいとします。その時尋問で、「Aという事実は存在しましたか。」と聞いても何の意味もありません。
 存在しました、と答えるに決まってますし、なぜそう言えるのかの根拠をまったく示すことができていないからです。
 そのような尋問をしても裁判官の心証をとることはできません。
 そうではなくて、Aという事実が存在するに至るには、必ずその過程というものがありますので、その過程で生じた事実を一つずつ聞いていき、これを積み重ねることによって、なるほど、それならAという事実が存在したであろうな、と裁判官に思わせないといけないのです。この積み重ねで立証したい事実に結びつけることができるかどうかが主尋問でのポイントだと、今回感じました。
 次に、相手方の証人に対する尋問、これを反対尋問と言うのですが、反対尋問のポイントは相手方の主張の矛盾点を暴くということです。
 例えば相手方が「Aという事実は存在しない。なぜならBという事実が存在するからだ。」と主張している時、尋問で「本当にBという事実は存在しましたか。」と聞いても何の意味もありません。存在した、と答えるに決まっています。これでは相手方の主張を固めるだけです。要するに、反対尋問でこちらの主張を裏付けるための証言をとることはほぼ不可能なのです。それより、反対尋問では相手方の主張の矛盾する点を見つけ出し、これを尋問で暴くことにより相手方の主張の信用性を失わせることが重要なのです。
 信用性を失わせることができれば、裁判官としても相手方主張事実が真実であるとの心証をとりづらくなります。
 そのような状態にもっていくことができるかどうか、これが反対尋問の重要なポイントだと、今回感じました。


 初めて経験した尋問、開廷前はとても緊張しました。あれだけ心臓がドキドキしたのは何年ぶりでしょう。勿論振り返れば反省すべき点もありますが、これから裁判実務を遂行していく上で、とても貴重な経験をさせて頂いたと思っています。このように一つずつ新たな実績と経験を積み重ねて行き、訴訟実務遂行能力をより高めていくことにより、着実に司法書士としての成長に繋げていくことが重要ではないかと思います。

 尚、この訴訟の結果につきましても、いずれ当ホームページで掲載しご報告をしたいと思っています。


 そして、もう一つ強く印象に残る事件が、過払い金返還請求事件です。この事件は来週第1回目の口頭弁論を迎えます。
 訴え提起にあたっては、過去の判例や弁護士の論述を何度も繰り返し読み込み、自分の頭の中で解釈論を展開し法理論を組み立て、2ヶ月がかりで60ページを超える訴状にまとめ上げることができました。
 一つの訴状を完成させるのに、これほど時間がかかったのは開業以来勿論初めてですが、その分、自身では納得のいく論理が展開できたと思っています。
 現段階でまだ相手方からの反論書面が届いていませんので、見通しについては何とも言えない状況ですが、これまでの事件の中で書類作成に最も苦労した事件であるだけに、絶対に勝訴判決を掴み取りたい、そう願う事件です。
 尚、この事件に関しましては、当ホームページで改めて詳しくお伝えしたいと思っていますので、宜しくお願い致します。


 他にも印象に残る事件は数多くありますが、今年上半期を振り返りますと、おそらく開業以来一番充実した半年ではなかったかと思います。様々な事件、難解な事件を数多く経験させて頂きました。
 貴重な実績が加わったことに深く感謝するとともに、これからもこのような事件の依頼がくる事務所にしていきたいと思います。
 そのためには、何よりそれに応えることのできる実力をつけることが重要です。
 これからも努力することの大切さを常に意識し執務にあたりたいと思います。